手染めの達人 青木正明さん/『手染メ屋』店主

『街の達人』コーナー、第一回目は、麩屋町通夷川を上ったところにある『手染メ屋』さんのご主人、青木正明さんをご紹介します。

『手染メ屋』さんは、名前の通りの染め工房。オーガニックコットンを天然染料で手染めしたオリジナルのカットソーやシャツなどを、製造販売されています。

その色は、うまく表現できないけれど、独特の深みや“かすれ”感があってひき付けられます。プラスティックの色に対する古い家具の色、みたいな感じでしょうか。

 

 

--このお仕事を始めたきっかけは?

青木さん 洋服、特に古着が好きでワコールに勤めていたんですが、あるとき「地球に優しいパジャマや部屋着」の開発を命じられたんです。奈良にある『益久染織研究所』を上司に教えてもらい、社長の廣田益久さんに会いに行きました。廣田さんは手仕事や天然染料にこだわった糸や布を作り続けている方です。

驚いたのは、天然染料で染めた布は、新品なのに大好きな古着のような「くったり」とした味わいを出していたこと。「これ、古着ですか?」と思わず聞いてしまいました。

さらに自分で染めを体験させてもらって、二度びっくり。自分で染めることができるなんて、思ってもみませんでした。アパレルメーカーに勤めていても、木の皮や根っこなどで布が染まるなんて、まったく知りませんでしたから。

――それでこの道を志した?

青木さん 2000年にワコールを退社して、廣田さんのところで弟子のようなことをしていました。そのころはまだ、自分の工房を持とうとは思っていませんでした。あの日までは。

それは、廣田さんの先生に当る古代染色研究家、前田雨城さんの展示会のお手伝いに行った時のこと。

初めて前田先生の染物を見て、わけもわからず泣いてしまったんです。感動とはちょっと違う。炎のような唐紅(紅花)の赤、静脈血みたいに深みのある深緋(こきあけ)。それらの色合いに、衝撃を受けたんでしょう。最後は泣きながら、へらへら笑っていたように記憶しています。

あの体験を境に、僕の中で何かが変わった。それは色を感じるセンサーかもしれません。それ以来、染屋をしたいと思うようになったんです。

――染め以外は、どうされているんですか?

青木さん オーガニックコットンの糸を買って、「吊り編機」という機械を持っている和歌山の「カネキチ工業」でカットソーの生地を編んでもらっています。「吊り編機」は、昭和の前半ぐらいまでは現役で活躍していましたが、とっくに製造中止になった旧式の機械です。でも糸を引っ張らずに編み上げるので、ふっくらとした、この機械でなければ出せない風合いがあります。

縫製は宮津市(京都府)のベテランのおばあさんが、一手に引き受けてくださっています。

染料としては、アカネの根、ザクロの実の外皮、ヤシャブシの実など、20種類ほどを常備しています。そのうちレギュラーで使うのは6~7種ほどです。

――夢は何ですか?

青木さん 夢というか目標は、前田先生のような“すげえ”色を出すことです。でも、全然。先生の染物とは全く違うし、何が違うかすら、わからない状態。

何と何をどの程度混ぜればどんな色が出るかとかは、大体わかりますし、科学でも説明はつく。でもそういうメソッドの部分ではなく、科学とは別次元のもの、例えば人間性のようなものが影響しているのかもしれません。でもいつかは“すげえ”のを染めたいと思っています。

(文中、敬称略)

 

★『手染メ屋』さんの商品は、麩屋町通夷川を上った工房(兼店舗)で購入できます。ウェブショップ(ネット通販) http://www.tezomeya.com/item/index.html もあり。最近は、百貨店などの催事にも出店されているようです。

★HP

http://www.tezomeya.com/

★フェイスブック

https://www.facebook.com/tezomeya

★関連リンク

益久染織研究所 http://www.mashisa.jp/index.html

カネキチ工業 http://kanekichi-turi.com/web/

ふ、ふ、ふ、麩屋町 掲載ページ

http://tate2.gogonavi.com/fuyacho/%E6%89%8B%E6%9F%93%E3%83%A1%E5%B1%8B/

 

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